電気の検針員さん
再生作業2回目は、ほぼゴミ片付けでした。
天井や床の工事をするには、
部屋をからっぽにする必要があります。
しかしながら、室内にはたくさんの不用品があり、
このままでは作業に取り掛かることができません。
そもそも、この家を購入したとき、既にたくさんの物が
残されていました。
家具だけでなく、布団や生活用品、家電品、
納屋には古い農具や古道具など様々な物が置いてありました。
契約の際、不動産屋と家主さんは残留品に関しては、
「できれば現状で」
という希望でした。
今の僕なら、
「いや、自分の荷物が入れられないので全て空にしてください。
こちらで処分するのであれば、処分費用がかかるので、
その分安くしてください。」
と値引き交渉すると思います。
しかし、当時の僕は、
「いいっすよ~。古くて珍しいものがいっぱいですね~。
どうぞどうぞ。いらないものは置いていってください。」
と、むしろゴミを欲しがってしまったのでした。
実際、唐箕や足こぎ式の脱穀機など、古い農機具は当時の
僕には魅力的でした。
昔ながらのやり方で自作農をやってみたかったからです。
そうした道具は、その後、実際に使用したのでまあよかったのですが、
それ以外の殆どのものは結局いらないものでした。
そんなわけで、元々あった不用品と、僕が残していった不用品が
合わさって、かなりの量になっているのでした。
ゴミ片付けだけでも相当かかりそうです・・・。
一瞥しただけでやる気を失う量なのですが、とにかくやるしかありません。
ゴミを片付けていると、原付バイクに乗った男性が訪ねてきました。
「こんにちは。電気の検針でーす。」
この家は、元々簡易水道は引かれておらず、山から湧水を引いていました。
住まなくなってしばらくして、どこかで詰まったのか、
水は止まってしまいましたが・・。
ガスはプロパンガスを使用していましたが、いざとなれば外にかまどもあるし
なんとかなるだろう、ということで家を離れるとき解約しました。
電気だけは、いつでも来られるようにと、そのままにしておいたのでした。
検針員さんを見て、はたと気付き、思わず当たり前のことを尋ねてしまいました。
「あ、毎月来て頂いてたんですよね?」
「あ、はい」
「大変だったでしょう?草ぼうぼうで」
検針員さんは、少し苦笑して、
「いや・・・。あ、蜂の巣は怖かったですね」
と言いました。
「蜂の巣がありましたか?」
「ああ、去年ありましたね。ちょうど通り道に」
この人が何年前から、うちの担当になったか分かりませんが、
少なくとも一年前からは、ここに毎月一回は来てくれていた、
ということです。
↓ こんな中、草をかき分けながら、検針に・・・。↓
悪いことしたな~。
長い間迷惑かけた分、今後はさわやかに検針してもらえるように、
再生作業を頑張らねば・・・。
検針表を僕に手渡し去っていく彼の背中を眺めながら、
廃屋再生への決意を新たにしたのでした。
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